劇場サーカス

主に自分が読んできた本(小説・漫画)を紹介します。

クラレッタのスカートを直せるか? ~魔王 JUVENILE REMIX~

 

 こんにちは。サーカスです。

 

 今回はこちらの作品を紹介したいと思います。

 

 

 この「魔王 JUVENILE REMIX」を初めて読んだのは私が中学生の頃だったと思います。

 

 中学生の時の私は勿論働いているわけがなく、お小遣いの少ないどこにでもいるような学生でした。そんな私が専ら通った場所と言えば立ち読みが出来る古本屋でした。

 

 今思えば、その古本屋にとって迷惑極まりない存在だったと思います。今では非常に申し訳ない気持ちが湧いてきます。

 

 当時の私は古本屋でこの「魔王」という単語に敏感に反応して思わず手に取っていました。そしてこれが見事に面白かったのです。

 

 そして、最近伊坂幸太郎さんの小説「グラスホッパー」を読む機会があり、改めてこの「魔王 JUVENILE REMIX」を読み返したいと思いまとめ買いをしました。

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

 

 

 「グラスホッパー」を読み進めて、現在の私は過去に読んだ「魔王 JUVENILE REMIX」の内容が今一合致しませんでした。登場人物などは朧気に覚えているのですが、「あれ?こんな感じだったっけ?」という違和感が私の胸の中に残ってしまったのです。

 

 そうなると気になって仕方がありませんでした。そして、昔の私にはない財力を使って一気にまとめ買いしました。 

 

 改めて「魔王 JUVENILE REMIX」を読んでみて思うのは、やはり面白いということ。

 

 物語の展開の仕方も読者を飽きさせず、どうなるのか!?ということを訴えてきますし、また登場人物も個性的でかつ、生き生きと描かれています。

 

 更に言えば、絵質がとてもこの物語にあっている。バトルシーンはとても魅力的で、力強いものがあります。内容を知っている私が改めて読み返してみたところ、何故か初見のような反応をしてしまう程です。

 

 何度読み返しても面白い、そんな作品になっています。

 

 既に完結している作品であり、10巻と読みごたえがありながらも、むやみやたらに長くない構成になっていますので、気になった方は是非読んでほしいと思います。

 

 さて、タイトルで挙げた「クラレッタのスカートを直す」という言葉はこの漫画の端的に表す言葉でありテーマだと私は思います。

 

 クラレッタとはイタリアの独裁者ムッソリーニの恋人の名前です。

 

 ムッソリーニ第二次世界大戦の最終局面でパルチザンたちに捕まり、恋人であるクラレッタと共に銃殺されてしまいます。

 

 そして、二人の遺体は広場に逆さに吊るされます。そうするとスカートを履いていたクラレッタのスカートが捲れます。そのことに群衆は喜びます。

 

 喜ぶ群衆の中でそのスカートが捲れない様にスカートを直した人物がいました。

 

 群衆からブーイングを受ける中その人物はスカートを直します。

 

 大勢の人が正しいと思っていることを否定することは容易なことではありません。それは現代社会に生きる私たちは誰もが痛感していることだと思います。

 

 周りに合わせ、周りが正しいと思うことを行う。例えそれが間違っていると思われる行為でも、周りがやっている、ただそれだけの理由で行いを正当化してしまう。その力が群れにはあります。

 

 その流れに逆らうということは、その集団から疎外されたり、攻撃されたりするという事態を引き起こしかねません。そのことを私たちは誰もがもう理解していると思います。

 

 だからこそ正しいかどうかで判断するのではなく、皆がどう思っているかを正義として掲げてしまいます。その正義が間違っていればその群衆はあっという間に負の軍団になってしまうというのに。

 

 「クラレッタのスカートを直す」ということは群衆に立ち向かうということ。悪意に負けず、非難を厭わず、集団に流されずに、間違っていると間違っていると意見したり、実行に移したりすることです。

 

 また集団に流されないということは、集団の考えに自分を合わせることをせず、自分の頭でしっかり考えるということです。

 

 皆さんはどうでしょう。

 

 もし、その他大勢の人間が正しいと思っていることを自分だけが間違っていると思った時、あなたはどのような行動を取るでしょうか?

 

 その時あなたはクラレッタのスカートを直した人物のように、スカートを直すことが出来るでしょうか?

 

 そのようなことをこの漫画は私たちに訴えているような気がします。

 

 ここまでご覧いただきありがとうございました。

 

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★紹介した作品まとめ

 

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)